富良野で農家る! 桃子のローカル日報
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野菜畑
久司道夫さんのことを知りたくて、調べていたらある対談記事に行き当たりました。
そうしたら、スープの話が出てきて思ったのです。ああ、これが食べたいな、と。
風邪を引きはじめたときであったので、まさに金の矢が飛んで来たという感じです。

それはにんじん、かぼちゃ、タマネギ、キャベツを同じようなサイズに切って
3〜4倍の水を注いで30分くらいトロトロと弱火で煮込むというもの。

これをスープと書きましたが、久司氏は「野菜の煮汁」とおっしゃっていて調理のプロへの配慮を感じるところです。
それほどに簡素な料理なのです。ただ、煮汁といっては旨そうではなかったので、
私はスープと言いたくなってしまいました。

幸い、それらはちょうど我が家にあり、ボールを持って庭をひと回りすると揃います。
キャベツだけは買ってきたもので冷蔵庫に控えていたのですが、あとは庭の地面にあったり
日陰で干されていたりするものばかりです。
それでさっそく寸胴鍋でそれを作って、晩のおかずに出してみました。
重たい食べ物が好きなuydaが、何というだろうかと思いつつ。

一緒に出したのはぬか漬けのさんまを塩焼きしたものを少しと大根おろし、
いぼいぼキュウリのぶつ切りなどです。
かのスープは、みそ汁の代わりとなってくれました。
uydaは特に何ということもなく、それを平らげてくれたので、しめたものです。

寸胴鍋のなかにはまだたくさんのストックがあり、これでこれから少々熱が上がって、
料理が辛くなっても大丈夫そうだという安心感をもたらしてくれました。

翌朝は、それを小鍋に取ってみそ汁に。
昼はカレールーを解いてカレーライスに。

カレーはuydaの分にはひき肉を足してボリュームを出し、私は納豆を添えて納豆カレーにと
ベースがあればそのさきのアレンジも楽なものです。
いつもならば、カレーの玉ねぎというとじっくり蒸らし炒めにしてコクある味を出していましたが
じっくり煮出した甘みは、また優しいものでこれもまた美味しいのだと知りました。
汁と具が調和した、平和な感じのバーモントカレーになりました。

それは久司氏の唱える本筋からは逸れるアレンジとは知りつつも、
己の意思でこれを食べ始めたのでない家族には私の思惑に気付かれない様にというか、
このスープの美味しさを直感で感じられるような駆け引きが必要なのです。
キッチンは実験と修行の場、食卓はときに土俵。
そういえば我が家の食卓は丸いケヤキのちゃぶ台で、土俵に似ていなくもありません。

そうしてその晩にはスープをもう一度作って、ということでただいま4日ほど続いています。
畑から出る野菜ででき、煮ている間は食事の準備の時間でなくても構わないし
この涼しい季節ならば、そう気遣いなく鍋のままストックできるということで、
いまなかなかに順調な滑り出しです。

さて今年の我が家の野菜畑、あくまで本業のメロンに熱を注ぐという決意で、
種類は控えめにやってきました。
上手く行ったものもあれば、今年は養成中でたべられないものも、また失敗したものもあります。
おかしなのは玉にんじん。
にんじんの種は、湿気が長く保たれ、なおかつ光が当たらないと発芽しないので播いた種には土をかぶせられません。
なので発芽が命の作物といわれています。
にんじん農家さんは、だだっ広い畑でどうするのかというと、種を播いたあとに
畑いちめんに接着芯のような不織布をひろげ、すっかり地面を覆ってしまうのです。ものすごい広さの畑をです。

家庭菜園の我が家では5月に種を播いたら、強風でみな飛んでいってしまい、
いざ湿気をまもる覆いをかぶせようとしたら
もう種の姿も形も無くなっていて、その気も失せてしまったのです。

それで諦めていたら、最近になって野菜畑のあちこちににんじんがひょこひょこと出てきました。
どの農家をもさんざん悩ませている長雨のいたずらで、飛んでいった種が草の陰でじっと守られていたのが、
それぞれ思い思いのところで芽を出したのです。
これを一般の畑では「野良生え」といって嫌い、雑草と同じく病気の巣になるからと
除草剤で根こそぎ退治されてしまうような存在になります。

しかし、けしからん我が家の畑は自分のもの。お金になるかどうかの物差しを離れてしまえば、
こんなにんじんが、風邪の危機をやわらかに癒してくれたりします。
じつに本来の収穫の予定よりひと月おくれとなったいまでも、ほんの少しずつ穫れています。
いっぺんに穫れないから、そのとき穫れた量に応じて使う料理を変えれば良いわけで、食べる方も気が楽なのです。
そして、じっくり育ったにんじんは、手のなかでどろんこをいっぱいまとっているまま
ワレコソハ人参ナリケリ、といわんばかりにレトロな人参臭を放ってくれます。
田舎おやじなルックスながら、なかなかにスパイシーです。

そして、本作では雨に負け全滅したエンダイブが、なぜか道のど真ん中にひとつだけ
元気に野良生えしてくれたので、これまた貴重な存在です。
大事に葉っぱを何枚かずつ頂戴して、付け合わせにあしらったりもしています。

すでに脱穀を済ませて瓶に入れた白インゲン豆の「まんずなる」、
今年のヒットであるほろほろ美味しいイボたくさんのキュウリ「神田四葉胡瓜」など、
どれも種から構っていると面白いことばかりです。
よく農家の起業本などには、経営のこつは家庭菜園をやらないことという一文が出てきて
読む程に引っ掛かり、しょっぱい部分ではあります。

やってみると、たしかにその面白さ、奥深さに危うい魅力さえも感じられ、その意味がよく分かるのですが
自家用野菜が作れるのは農家の特権でもあるのですから、この恩恵の意味をよく踏まえて
これからも少しずつ試みたり、味わったりと、あらゆる面で経験を積んでいきたいと思っています。

posted by momouyda | 22:57 | 農作業 | comments(0) | trackbacks(0) |
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