富良野で農家る! 桃子のローカル日報
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白い器を手にして
冬至から1月が過ぎて、穏やかな陽射しに少し力がこもってきました。
晴れればどこまでも青白く、陰れば徹底的に色みのない雪景色は、
眼から頭へと計なものの入力を許さないような厳しさと、
余計なことを考えないで、頭のなかを休ませてくれるようないたわりとを持っています。

どさんこでない私どもは、この時期に外に出るには、
どんな天気であれサングラスがなければ眼が開けられません。
とくに晴れた日は、強い光の中、外に出るのは360度全面から青い光に洗われるようで
本当に気持ちがよいのです。そんなとき、どさんこ犬は家の中でもそわそわと興奮したままです。

そして早いところでは、メロン栽培のビニルハウスを掛ける作業が始まったことでしょう。
しかし、降雪量のピークはまだまだ先のことです。
それどもなお、7月初めの貴重なメロンを作ろうという熱意のある農家さんは、
灯油を何百万円分も焚き、十人以上の人手を雇いつつ、それに掛けておられるのです。
毎年書いてしまいますが、その強い想いには雪国の人々のこころが詰まっている気がします。

昨日のことですが、我が夫婦に5回目の結婚記念日がやってきました。
無邪気な私どもは、毎日がシーソーでばたばたと上下を繰り返すようにしてきて、
その回数が随分とかさんだものだと思いました。
しかも、我が家のシーソーはかなり板が短いのだと思います。やたらと動きが激しいからです。

さすがに支点に「がた」が来たらしく、今いろいろなものを入れ替える時期になったようで、
数日前のスキーでは、下山直後にuydaのビンディングが壊れ、
きのうは私のジャケットのジッパーから、タブが根元からちぎれてしまいました。
どちらも、突然に心臓部が駄目になったもので、ここしばらく登板はなさそうです。

ビンディングが壊れたuydaのスキーは、新婚旅行のかえりに無茶して買ったもので、
私のジャケットは嫁入り道具のつもりで、若者溢れる渋谷のパタゴニアで
清水の舞台から飛び降りる覚悟とともに手に入れたものでした。
どちらも、結婚当初の初々しさから今に至るまでの出来事を冬の分は全部ふくみながら、
ここまでとことん私どもに付き合ってくれました。

山で出会った私共は、美しいけれども余計なことが許されないところに居合わせることで、
互いを信じようという思いを分かち合っているのかもしれません。
そして、同じ光景や、雪の感覚を確かめ合うのです。
これが、家のなかや畑ではすぐにつまらない言い合いになりそうなところ
仕事でなく好きなことをしている時は、展開がまったく違うのです。

冷たいところでなら上手く行くという、このおかしな夫婦は、
出会ったときの異様なくらいに晴れた天気の良さと、
金色に紙吹雪のようなダイヤモンドダストが舞っていた光景を、今も思い出す度に酔っぱらってしまいます。

そうして、おめでたい気分を思い出したところで、家の中では
ずっと気になっていた食器を、すこししっかりしたものに替えました。
互いに、婚前はながらく引越が多い独り者だったので、
食器棚もなければ器も親戚から頂戴してきた引き出物や百円ショップに並んでいたものばかりの寄せ集めでした。

それらは結局すぐに垢染みてしまって、たまにクエン酸とともに大鍋で煮たり、
メラミンフォームでこすったりしてもすぐに元に戻り、結局手間も気持ちもすっきりしなかったのです。

このたび初めての大豆の売り上げを、生活費でしょぼしょぼと使うのはもったいないから、
何か形あるものにしよう、というuydaの提案から、この買い替えを思いつきました。
お菓子やピザを焼くような電気オーブンも、ちょうど壊れていたところであり、
欲しい機種は決まっていたのでそれを買おうかとも考えましたが、
家電といえば消耗するような気がしてしっくり来ません。

あたらしい食器はアウトレットではありますが、私の好みで、色みがなくて形が好きなものを
uydaとともにひとつひとつ手で感触を確かめながら沢山買い込んで、
なにやらまるでこれから結婚するカップルのような時間を過ごすことが出来ました。

こうしてどうやら5年経ってようやく、地上でも夫婦らしく振る舞えるようになった私どもです。

しっかりした器のつくりの丁寧さをおもうと、日々それにふさわしい内容を目指したいと言う気が起きてきます。
これをただの贅沢に終わらせたくはないので、暮らし方も仕事のありようも丁寧になりたい。
そういう思いを、あらたにしました。
posted by momouyda | 12:22 | 雑記帳 | comments(4) | trackbacks(0) |
コメント
結婚記念日、おめでとうございます。
5回目はちょっとした節目ですね。
すてきな出会いでいいなぁ。
いつかお話聞かせてくださいね。わたしも聞かせてあげる(笑)。

2011/01/28 07:46 by numax
numaxさん、ありがとうございます。
5年という時間、やはりボリュームは相当なものがあります。
節目になるのかどうなのか、後にならないとわかりませんが
どうもここまで来てよかったらしい、ということは最近解ってきたような気がします。
良かったどうかなんて死ぬまで解らないと思っていましたから、びっくりなのです。
numaxさんも、今度いいお話を聞かせてくださいね。
楽しみです。
2011/01/28 23:21 by momouyda
とても素晴らしい文章に心打たれました。

結婚まえにご一緒したきり昨年の劇的な再開・・・その中にあったお二人の日々を覗かせて頂いたようです。

あらためてアニバーサリー5THおめでとうございます!!!
2011/02/18 11:32 by mayumi
MAJU姉さん、ありがとうございます。

頼もしくて大きい姉さんの存在が、今の私に大切な鍵のひとつをくださったのです。

あの、5年前の抜けるような空や、昨年のインディアンサマーみたいな陽気が
その証かもしれません。
あの不思議なひとときが、MAJU姉さんには何をもたらすのか
これからが本当に楽しみですね。

麦道場、これからも大いに通わせていただきます。
どうぞよろしくおねがいいたします。
2011/02/18 13:20 by momouyda
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