富良野で農家る! 桃子のローカル日報
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黒の深さに
ゲストウィークはまだ続いていて、思いもかけないお客様や友人までもが、
いらしてくださいました。

そのなかで、突然届いた小包の箱。
開けてみたら、煙ではなくて真っ黒いお椀がころり、でてきました。
ああ、老けなくて済んだ・・・。
と思ったのもつかの間、なんだか一寸法師や目玉おやじがどこかにひそんでいそうなほど
なんだか茶目っ気と意外性が詰まった、おかしな箱でした。

送り主は、讃岐の「造(みやつこ:竹取物語のおじいさん)」ではなく、「和うるし工房あい」のお二人です。
このお二人に、お椀の修理を頼んでいたのが帰ってきたのでした。
最近、結婚記念日に我が家にお目見えした白い器たちに負けじと、
残されたお椀の皆が呼び寄せてしまったのでしょうか。
それとも、炒り豆ご飯のモデルに使わせて頂きながら、ご紹介を怠った私共へのアピールだったのでしょうか。

そのお椀を修理に出す前は、若々しい艶があって、子供みたいなあどけない外観で、
よく見ると、ちょっと内側の肌が荒れてしまっているのにはたと気づき、
さあ困ったね、とでもいいたいような表情をしていました。

工房のある郷里で、欲しいだけ特上の漆を吸わせてもらって、その上もう一度透明な漆を塗ってもらい
帰ってきたお椀は、すっかり大人の顔になっていました。
しっとり奥深くて、ちょっと話しかけづらい感じさえします。
買った当初よりも、あきらかにいいお椀になって帰ってきました。有り難いことです。

そうでした。そのお椀も、彼らが工房を始めて一番初めに開いた個展で売っていたものです。
当時高松の商店街にあった、宮脇書店本店のの地下ギャラリーで、
なんだか高松らしいゆるい雰囲気のなか、漠然と「陳列」されていたお椀たちのなかのひとつでした。

まだ、それからかれこれ10年くらいしか経っていませんが
彼らはもはやデパートの特選和食器売り場や高級ダイニングに、常連さんとして全国規模で活躍中です。

なぜそうなったのかは、HPをよく読めばわかるものですが
ひとえに、おそらくはおなじ容積の金と同じくらいはするであろう日本産の漆だけを
手間なぞまるで計算に入れずになされている仕事であることや、
親しみやすくこまめな発信の積み重ねであることが、その秘密です。
恐るべきほどの精度と仕事量は、並の人の心臓3つ分くらいはありそうな和明氏のバイタリティから、
また猫まじりの楽しいブログは、雑誌編集のキャリアが長かった佐和子氏のクリエイティビティから
それぞれが湧き出て、絶妙により合わさっているからです。

だから、友人であって、仕事上の大先輩でもあり、われわれの大切なリーダーのひとり、いや二人なのです。

ちなみに、彼らのブログで最近の記事になったケーク・サレ
これを焼いたのは、まちがいなく和明氏のほうで、彼はいつだって過酷な課題を常に嬉々としてかるがるやってのけ
おまけに、会うたび佐和子姉さんあてに特大シフォンケーキを大風呂敷に包んで登場していたのです。
そこまではすこぶる格好いいけれど、当時、とてもじゃないが空気を読むセンスなど
まるでわきまえていなかった私が、それをむしゃむしゃと戴いていたというパターンでした。
生涯、あれほどおいしくたっぷりとシフォンを頂いたことはなかったように思います。
なぜならそのころの佐和子姉さんときたら、お弁当のおかずは、
野草のおひたしと雑穀米を中心とした、おしゃれな粗食だったからです。

このお二人と、一時期をすごしたことがあったもので、
そのころからずっと、いまだにメロンやスイカを通じてとても良くして頂いています。

新しいお椀の塗り肌は、かぎりなくさらさらとしていて、やさしく奥深い艶をしています。
いままでに見たこともないものです。
御礼の電話がてら聞けば、思い入れの深い、貴重な漆を掛けて下さったそうです。
こうして、今度のシーズンに向けて「いい気分」の貯金がたまってきました。

明日もしくは明後日からは、我が家もいよいよビニールハウスの骨組みの上に、
ビニールを載せ始めるつもりです。
シーズン初めに向けて、エンジンをかけ、暖気運転を始めるときがきました。
ちょっとしたお祭り気分から、徐々に心のネジを巻いて行こうと思います。
posted by momouyda | 22:20 | 雑記帳 | comments(0) | trackbacks(0) |
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