富良野で農家る! 桃子のローカル日報
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東風
風が強くなってきました。

雪が溶けるとき山から降りてくる風は冷たくて、時に固まりのようになってハウスに体当たりしてきます。
ビニールを抑える黒い紐が、ぶーんと唸って、ちょうど快速電車同志がすれ違うときのように、
「ぶわっ」とも「どん」とも聞こえるような派手なショックを手始めに、ビニールがばたつくのです。
それをランダムに一日じゅう聞いていなければならない、いささか神経の疲れる時期です。

それでも気が付けば、メロンはすでに半分を植え付けてしまい、そろそろ植え付け後の手入れも始めようか
というところまできました。
これまで、とてもお天気に恵まれたので、初めの3枚ある葉っぱが、どれも大きく育っています。
メロンの苗を付けるにあたって、一株あたりに2本の蔓が出るように細工してあるのですが、
この初めの3枚の葉っぱは、「親葉(おやば)」といって、
この2本の蔓を育てるためのソーラーパネルになるわけです。

親葉で作られたエネルギーは、2本の蔓はもちろんのこと、地下では根っこを張るのに多く使われます。
根が深く広く張ることで、水分と養分をよく取り入れられるだけでなく、
苗全体をみたときに、温かい地中に体が沢山入っていた方が、この時期のきまぐれな寒さに対して強いのです。
ヒトでいえば、お風呂に肩まで浸かっているような感じでしょうか。
苗の成長が著しいのは蔓の先と根っこの先端部分なので、
私共の手入れによって地上の成長ポイントをなるべく少なくして、根の成長を促しています。

ちなみに、この時期はメロンの株のなかでは、メロンの実になる雌花の組織が作られる時期とも言われていて
この時期にあまり暑過ぎると、雌花が付かなくなってしまうこともあり、
ハウスの熱を逃がす風と、暖める陽射しのどちらを優先してハウスのなかの暖かさを適温に持ってゆくのか、
日の出から日没過ぎまでずっと気が離せません。

ご飯ができて、さあ食べよう、という瞬間に突然太陽が出てuydaが外に飛び出す、
というような場面は、もう毎日の事です。
腹が減っては仕事に差し障り、また毎日のささやかな楽しみとして大切な美味しさを演出したくて、
温かさ、火加減のタイミングに気を使ってちゃぶ台を盛り上げたはずが、待ちぼうけ。
そして冷めた食事と気分にも、慣れっこになってしまいました。
たまに、2人と1匹がきちんと揃って食事を始められるときのさらなる幸せをさがして、
また次の食事の用意にかかるだけです。
こちらに心づもりがあれば、きちんと、それが叶うときもあるからです。

さて、今年のメロンを植えるにあたり畑に入れたのは、
鯖ぶしのような肥料と、阿寒の貝化石です。

昨年のおかずと重ならないように、またカロリーが高過ぎないように、
土壌分析の結果を踏まえつつ、適量をスコップで丁寧に播きました。
地面を堅く踏み固めてしまわないように、重たい肥料を積んだ重たいトラクターではなく、
手で畑のおかずを播くことができるのは、小規模農家の特権でもあります。

結果、全身からよく「だし」のかおりを強烈にまとわざるを得ない日もあるもので、
もし我が家に猫がいたら、その日はモテモテでいられることでしょう。
どさんこ犬のシータも、いくら叱ってもこの茶褐色の粉末を、私に隠れたふりして
こっそり舐めるのを止めません。
シータは昨年の肥料では、やがて気分を悪くしていましたが、今年の肥料はけろっとしている様子です。
どうか、よい子のみなさん、つまり皆様方の大切なご家族犬には、
同様の真似はなさいませぬようお願い申し上げます。

貝化石のほうは、残念ながら灰色したアンモナイトやオウムガイなどを、
マカロニのようにじゃらじゃらとまき散らしているわけではなく
粗い粉になっているセメントのようなものです。これでおもにカルシウムを補います。
これを撒いていると、きっと、あのメロンの網目になってゆくのではないかという予感がします。

もうひとつ、ミネラル補給にこの春新発売した肥料も、ごく一部試験的に使ってみようと思います。

これはわれらが地元、やまべの鉱山跡から、東京農大と共同開発を経て
昨年から一般に売り出されているマグネシウム肥料です。
そしてこの春から、有機栽培向けの仕様を用意して下さったのです。
植物には必須でありながら、現在ほとんどが中国からの輸入であるマグネシウムの原材料が、
ここ富良野にはふんだんにあるのです。
これからの伸びを期待したくなる、地元の貴重な財産のひとつです。

しかし今年の我が家でそれを畑の全面に使わないのは、昨年のおかずであったマグネシウム貯金が、
畑の銀行にまだよく残っているという分析結果によります。

このようにして一歩ずつ、小さな畑でごく細かく動きながら、大きなメロンの夢を描いている我が家です。
posted by momouyda | 21:57 | 雑記帳 | comments(0) | trackbacks(0) |
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