富良野で農家る! 桃子のローカル日報
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鳩ぽっぽ
もともと富良野に梅雨はないけれども、最近はもうはや梅雨明けのように30℃近くになったり
にわかに曇って雷がひびいてきたりと、芝居のような天気の変りようです。
内陸部だけに、やっぱり天候は荒々しさに満ちていることが多いです。

ハウスの中でメロンの手入れに取り組んでいるとき、いったん晴れれば汗でサングラスが滲んでしまい、
拭えば曇るし、かといって外すには眩しくて、ポケットには小さなタオルが欠かせません。
それもすぐくしゃくしゃとして何となく塩気を含んでしまうので、半日経ったら取り替えることもあります。
こうして水分ミネラル分を消費するものだから、寝る前に温かいお茶をポットに一杯飲んでいないと、
喉が渇いて目が覚めるのです。
寝る前にお茶をゆっくり飲むことも寝ることも、だいじな明日への備えです。

さて、昨日のこと。ぐんぐんと丸みを帯びていくメロンは、そのまま放っておくと
ちょっときつめの勾配をつけてあるベッドから、転がり落ちてしまいます。
なので、メロンには枕が必要なもので、私はその枕となる籠のようなお皿を敷いていました。
すると、にわかにラジオから流れて来たのが、「鳩」のうたです。
ぽっぽっぽー、というあどけない少女が謳うそのメロディは、

いつものようにたまらなく退屈で、なぜこうも歌い継がれているのかがよくわからないな、という心持ちでいました。
暇を持て余したじいさんが、ふらりと神社の境内か大きな公園で、
一袋50円のパンのみみでも片手に、ばたつく鳩の群れのなかでぼそぼそと呟いている、というような。
ところが、2番を聴き終わったあたりで、何かがむずむずします。

ぽっぽっぽ はとぽっぽ
豆はうまいか 食べたなら
みんなそろってとんでいけ

これはもしや、なんと、これは本来、農村で謳われていたものではなかったかと
はたと気が付いたのでした。
しかも、豆の種を畑に植え付けているときの光景であるとすれば、
この歌の意味ががらっと変わってきます。

昔なら、はたけで二つ折りになるようにして、脚の幅ごとに豆を2粒か3粒、
手で土に植えていたのでしょう。
そして、ふ、と振り返ってみれば、なんと今播いたばかりの豆を鳩がほじくって食べているという、
そんなときの歌ではなかったのかとひらめきました。

意地の悪い鳩たちに向かい、いま手元の豆をあげるから、
もう畑の豆をほじるのはやめて、差し出した豆を食べて満足したら、どこか他所へ行ってちょうだい。

と、自然の為すどうにもならない現象を、鳩へのいたわりによってどうにかしたい、
という先人の願いが込められていたのです。
その奥にある、嘆きと諦めの蓄積に、圧倒されてしまいました。

まるで万葉集のような世界を感じ、街育ちの浅はかさを恥ずかしく思ったのでした。

そうしている間にも、蔓は伸び、メロンは肥っていくので、ごくごく細かい仕事は続きます。
まだまだ順調です。
ハウスで蒸し焼きになった体を、摘果メロンのお味噌汁が、体の中から優しく癒してくれました。
だし汁で柔らかく煮た8つ割の摘果メロンに、絹ごし豆腐の滑らかさがよく合います。
あればとろろ昆布をひとつまみと、子ねぎをほんの少し浮かせれば、初夏の雰囲気一杯です。
湘南界隈では冬瓜を良く食べたものですが、げんこつくらいの摘果メロンは、その代役も果たしてくれました。

荒々しさと優しさが何重にも絡まって渦巻いている、富良野盆地です。
posted by momouyda | 23:17 | 農作業 | comments(2) | trackbacks(0) |
コメント
頑張ってますね!美味しいメロンが出来上がるのが楽しみですね!「冬瓜」ってこちらの地方では無いですよね。どんな味かなー?暑い日、寒い日ありますけどお仕事頑張って下さい。
2011/06/25 18:47 by furanocafe
furanocafeさん、コメントありがとうございます。今朝は寒いですね。
寒いとメロンがひび割れてしまうので、メロン屋はどこもヒヤヒヤものです。
冬瓜、そのものの味はほとんどなくて、
ベースになっている出汁やあんかけをたっぷり吸っている、
密度と弾力のない麩みたいな食べ物です。透き通っています。

この週末は、書き入れどきですね。
私も来月からはお向かいに出入りしますので、ちょくちょくお邪魔します。
お互い、きっと良い夏にしましょうね。
2011/06/25 23:34 by momouyda
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