富良野で農家る! 桃子のローカル日報
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晴れ間を惜しんで
小春日和も、もう今年は最後かもしれないというところにきて、急にスイカのハウスを建て替える事になりました。
今のハウスをいったん抜いて、ほかにストックしてある鉄パイプを全部寄り合わせて
ハウス全体の長さを倍にします。
パイプはいろいろなところから寄せ集めてきたものなので、長さも、曲がり具合も、似ているようでいながらまちまちです。
それらを切ったり、曲げ方を直したりして、どうにか使ってみようというもので
昨日から私は鍛冶屋さんに、uydaは土木工事に勤しんでいます。

百姓、すなわち百の仕事をこなす人々。すなわちマルチタレントそのままです。
サラリーマンの娘である私は、小さい頃、父が運転する車に乗っていると
出会い頭に路地から急に出てきた車に向かい、父は決まって「百姓!」と罵っていたものです。
ところがなんと数十年後は、その娘がかろうじて百姓にさせて頂いている次第です。
娘本人にとっては予想外の展開でしたが、当の父は、まんざらでもない様子です。

余談はさておき、じつはこの秋は、メロンのハウスをあと2棟建てるつもりでいたのですが
見積もりを取ってみて飛び上がり、諦めました。
震災の影響で、鉄パイプの値段が高騰しています。
3年ほど前、北京五輪のときもぐんと高くなりましたが、今回の値上がり具合はその比でなく
じつに5年前の値段のほぼ倍です。
あわせて、ビニールの値段も年々上がっていますので、
ビニールハウスでつくられる野菜のバリエーションが、もしかすると今後少なくなっていくのかも知れません。
被災地から遠いようでいて、同じ国の住人ですから、誰もが震災の当事者であると私は思っています。

まさに、生き残るのにはどう働いて行ったらよいのかが、問われているようです。
求めてみたい答えはあれこれと浮かぶものの、辿れる道はひとつですので
時間をかけて、じっくりと進んでゆきます。

さて、秋晴れがあまりにも気持ちよくて、杭を埋める穴を掘っていても
スコップを持つ手に力がはいりません。
だらだらと夕暮れのなか杭を埋めていると、夕映えに雪虫がたくさん舞っていました。
どさんこ犬が、散歩を待ちきれないよ、と迎えにくるので、
連れ立って山の方に歩いてゆくと、暮れ方の逆光に紅葉が透けて、いちばん深い秋の色を見せてくれました。
犬も、金色の輪郭だけになっています。
谷のほうから「きゃーーーーん」と響く鹿の声がして、どうにもこうにもいまが秋です。

帰り道はあっという間に暗くなり、トラクターのヘッドライトが、富良野盆地の隅から隅まで、点々と輝いています。
どれも街の明かりより、一番星よりずっと明るくて、力強いです。
かつて中島みゆきが謳っていた「地上の星」とは、これのことだったのかも知れません。
残念ながら、我が家のトラクターは小さ過ぎて、この中には混じっていませんが
いつか、この宵の光景を美しい写真に納めてくれる方が、きっといらっしゃると思います。

加えて、10月中旬のこの時期から11月中旬にかけての秋の景色も、私は大好きなのです。
美瑛に長くお住まいの先輩も、この時期の景色がいちばん好きだとおっしゃいます。
天気が安定しにくいのと、寒さ暖かさの落差があるのとで、運に左右されやすいのですが
道は空いているし、道路凍結の心配もさほどなく、北海道の良さをじっくり楽しむ旅行には
とても良い時期ではないでしょうか。
何かを鑑賞したり、学んだり、じっくりと風景をみながら心の行き届いた食事を楽しんだり、
街独特の詰め込まれた時間の密度をはなれて、何時間も、あるいは何日も思い切った長居をするのに、
富良野の景色はきっと似つかわしいのではないかと感じます。

この静かさと時間のまとまりの意味を良く知っている方々が、富良野には沢山おられます。
地元の農家の奥様や、おばあちゃんに、手仕事の得意な方がたくさんおられますし
若くても細かな手仕事の得意な友人がいて、先日はその工房と、アロママッサージのサロンを開設した
ささやかなお祝いをしてきました。

このような技とセンスを持った若い人々が、農業ヘルパーから移住者のなかに沢山おられます。
それは夏に行われる、クリエイターズマーケットの賑わいに象徴されますけれども
当然ながら、農業や、アウトドア産業に関係する方々は、参加することも観に行く事もままなりません。
もっと、こういった方々が大切にされ、活動しやすくなることを願っております。

さて、こうして秋は更けてきました。
明日、ハウスの立て替え作業に区切りがついたら、一気に豆刈りです。
木枯らしで豆の木は随分と乾きましたので、今年は脱穀が随分と楽になりそうです。
そして雪が降ると、それはそれで薪を運んだり、ストーブの世話をしたり、
まとまった雪が降れば除雪したり、大きな機械や設備のない我が家は、生活そのものが忙しくなります。
冬が来る、そう思うとどこか気が引き締まる心地です。

貧乏暇無し。しかし楽しく美しいのが、田舎の醍醐味です。
posted by momouyda | 20:28 | 農作業 | comments(0) | trackbacks(0) |
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