富良野で農家る! 桃子のローカル日報
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白いりんご
とうとう、私の手元にノートパソコンが来てしまいました。

幼いころから身近にパソコンはあったけれども、面白かったのは学生のときまでで
勤め人ともなれば嫌になろうとどうしようとなお振り回されたものだから、ちょっとした暇があると、
何やらぎこちない宇宙らしきところに行って小旗を翻してばかりいる小生意気な仕事の道具であり、
またえらく時間と平常心を食べたがるこの厄介な存在を、疎ましく思っていました。

だから、ここのところは必要を感じていても、できれば私は持ちたくはなく、
間に合えば一家に1台あればよいのだとばかり、いつもするりと逃げていたのだけれども
とうとう、銀の薄くて滑らかな座布団に乗った、白いリンゴに御用つかまつることとなりました。
めでたくもwi-fiという見えない糸でできた世界規模の大きさを持つ網にとらえられ、
脱サラ以来、じつに6年ぶりにお縄となった訳です。
メロン屋の女将に装いを変えようとも、大いなる時間の流れの前には無意味です。

幸い、わが旦那が愛用しているのはマッキントッシュであったもので、少しはビジネス臭さがないものの
なぜに思い入れたくもない仕事道具が、気取っていなくてはならぬものかと
激務の残したトラウマの根深さを、旦那のキーボードやマウスの扱いに叩き付けるものだから
旦那はよく、私がパソコンの前に座るのもいやがっていました。

だもので、いったん離れてしまえばいい気なもの。
ちょっとした雑事の合間に覗くお気に入りのページをいくつか見たら、
天気予報もニュースも、旦那の読み上げる内容で事足りていました。
特に最近は、アップデートやらバージョンアップやら、ソフトのバリエーションと展開の早さが加速していて、
常に管理していないとあっという間に使えなくなる、というこの世界が、蟻地獄のようにもみえてきました。

そうはいっても、実に数多くのお客様とのやりとりをしたり、
パソコンを使ってすみずみまで自分の納得のいきとどいた独自の世界を構築し、
そこに浸るのが大好きなuydaとの暮らしの只中にあって、バックアップの必要からも
なかなか、そうは問屋がおろさないところまで来てしまったようです。

さて、窓の外は今夜もひしひしと冷えています。
朝になれば日差しで霜が解けて、トタンの屋根からずいぶんと沢山のしずくが滴り落ちるものだから
朝もやの濃さに惑わされて、今日は雨かと勘違いします。
本当のところは、そんなきつい霜がおりると、日中は暖かい小春日和です。
気持ちよく空の広さを感じ、浸ることができます。外仕事には心からありがたい陽気です。

雨の日に伺った三笠のりんごのおばちゃんは、今年はリンゴがなかなか赤くならなくて、
収穫が滞っていると話していました。
しかし、それでも穫れたての早生のリンゴは、小降りで可愛くて酸味がしっかりしていて、
本当においしいです。朝の一粒で、すっきりと心が洗われるよう。大事に頂いています。

これから冷たさを増す風に、裏山の唐松が色濃い黄金色の葉を落としてしまったら、
ここ富良野は、このディスプレイの裏側で輝いているリンゴと同じくらい、真っ白な世界になります。
そうしたら、私はスキーを手に山に向かうのです。
昨年、偶然手にしたそのスキー板には、ソールにでかでかとリンゴのイラストが入っています。

そして私を捕らえた白いりんご、生みの親が残した御言葉があります。

“stay hungry, stay foolish” (貪欲であれ、馬鹿であれ)

故スティーヴ・ジョブスが残したこの一言は、私共のこころに吹く、心地よい追い風です。

今まさに私の手元にある、この銀のケースを通して覗く世界にも、その外側にも、
リアリティを解く鍵はそこここに満ちています。
せっかくのことですので、おとなしく、どちらの世界も、一口ずつじっくりと味わっていきたいものです。
posted by momouyda | 21:33 | 雑記帳 | comments(0) | trackbacks(0) |
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