富良野で農家る! 桃子のローカル日報
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春の嵐、とうとう朝青龍級のお出ましです。
我が家の新品ハウス、こんな大風の経験がない私どもにはなす術もなく
あれよあれよと言う間に、めちゃくちゃに破れました。
ビニールを抑えている部材がいっぺんに杭ごと抜かれてハウスの反対側へ飛び、
他の部材と絡まってどこにあるのやらさっぱりわかりません。

これが、家からいちばん遠いハウスだったので、その爆風の瞬間は解りませんでしたが
なにしろとても近づけたものではありません。
二人でやるせない心地をかみしめるように、お昼には残り物の乾いたフランスパンを齧っていたけれども
どーん、ぶわっ、どーん、と窓に張り手を食らわしてくる風の勢いと、
四方八方から突き刺すようにくるすきま風の冷たさにとてもじっとは座っておれず、
窓からビニールがどんどん破けて持ち上げられるのを、小窓からただ見送るばかりです。

家の前では苗床が、頑張っていましたが頂上部分のビニールがだんだん熱気球のように腫れぼったく伸びてきました。
見回りに行ったuydaは、抜けるはずのない板杭が抜けてきたのに動揺し、
トラクターを持ってきて杭のかわりにビニールを抑える紐をくくり付けています。
その頃いよいよ危ないと思ったので、苗たちを家の中に避難させました。
苗の箱につづいて苗床の電気マットを運ぼうとして丸めたまま抱えて出たら、
西風にぴたっと押されてつぎの一歩が踏めません。
まるで重いスキーを履いて膝上くらいの雪をラッセルしながら登坂するのと似た心地で
絶対に転んではいけないし、とにかく脚を地面に吸い付かせて進まなければ、と本気で風との力比べです。

なお風は勢いを落とさないのでuydaは苗床ハウスの骨を守るため、
ビニールを構造から離してしまおうかどうしようかと
紐を切るためのカッターを片手にハウスの周りをうろうろしながら、
ビニールの留め具をはめたり外したり。
しかし外してしまったら最後、中にあるものは飛んだり濡れたりしてすぐには復活出来なくなるので、
できるなら持ちこたえようと、まずは剥がした時のために内装を解体してゆきました。
そうして時間を稼ぐ間に、風が少しは弱らないかと願いながら。

小屋のトタンはばりばり言うし、すぐそばで隣のご夫婦はそれでも外でハウスを見守っているし
でもいろいろな物が飛んでくるので、絶対に危ないから外に居ない方が良いに決まっているけれど落ち着かないから、
どうにもならない私どもです。

遠くのハウスが結局どうなったかを見に行ったのは、風が止んで雪が降り出した夕方になてからでした。
見事な破れっぷり、壊れっぷりに感心しつつも、主な骨があまり変形しなかったことにほっとし、
また嵐が去ったのですっきりしました。まずは生き延びた、という感じでしょうか。

ここ鳥沼地区では、我が家の近くに限ってビニールが破れたという被害があったそうですが
山部のメロンの親方のところは、何棟も骨ごと潰されてしまったとのこと。
いつでも芦別岳から吹き下ろしてくる風が、川伝いにどどどどど・・・と落ちてくるところだけに
今回の西風も、叩き付けるように吹いたに違いありません。

山部では何十棟も栽培している農家さんが多い中、ちょうどハウス掛け、床づくり、定植が重なるこの時期に
潰れたハウスを片付けるという力仕事が加わったことを思うと、かける言葉もなくなります。
潰れていないにしろ既にかかっていたハウスのビニールは、
どこかしら補修や張り直しをしなければならないことでしょう。

我が家は、嵐の食べ残した吹雪のなか、昨日は近所の親方衆がつぎつぎと、
そしてはるばる三笠から子連れ友達連れのえみやまさんが陣中見舞いに来てくれました。
今日はるばる南富良野十勝方面からアドベンチャーガイド連中が子連れ手弁当でやってきて
壊れたハウスの部材をほぐし、集めてくれました。
おかげ様で私共、待ってくれない苗の世話や、その苗を植えるためのハウスの準備が出来て
大いに助かりました。
7ヶ月の赤ちゃんが2人もいたのに、彼らも大人しく付き合ってくれたのです。

友あってのウエダオーチャードだから、皆の好意に報いるようなメロンを穫りたい。
ハウス2棟分のビニールと、幾ばくかの鉄パイプ、それに1回目の植える時期は逃してしまったけれど
残された栽培期間で、きちんとした物を確実に穫ることが、ダメージ克服の大前提です。
さて、嵐が去り、uydaが本気になる時が来たようです。
posted by momouyda | 20:21 | - | comments(4) | trackbacks(0) |
春の陽
春の嵐が次々とやってくるので、作業がなかなかはかどりません。
まいにち強い風が吹き、雪が減りそうで減らず、お陽様が待ち遠しいこのごろでした。

風の合間を見て、ビニルハウスを2棟かけたものの、中の雪も周りの雪も溶ける様子がみえず
なかなか畑らしくなりません。
電気マットで加温している育苗ハウスのなかだけがほんのり暖かいけれども、
それもどこか力のないぬくもりで心もとなく、うすらさみしく感じます。

そのなかで今年初のメロンの種も芽を出したはいいけれど、
あまりにも光線がなさ過ぎて黄色っぽいもやしのよう。どうも弱々しい芽吹きです。
よく夜中に芽生えを迎えると、双葉が黄色くなってしまうことがあるのですが
日中に出てきたものがこうなるのは、初めて見ました。

そこで今朝はおまちかね、ひさびさに太陽が出てくれました。
苗よ待たせて済まない、という心持ちから、どうか暖まって光合成してくださ〜い、と
育苗箱にむかって呼びかけずにいられません。

いっぽう、そのとなりでは自家用タマネギの種がひょろひょろと青い芽を出してきています。
こちらは至ってひょうきんな顔をしていて、その形が昔あったヘビ花火をおもわせます。
知らなかったのですが、タマネギの芽というのはぴたっと半分に折れた形で出てきて
そこからにょろにょろと伸び上がり、しばらく地面に突き刺さったまま抜き損なったホチキスの針のごとく、
つっぱったような輪になっています。
やがて頭を地面から引っこ抜くようにしてまっすぐに立ち上がったら、あの軍艦握りの芽ネギになるのです。

200粒をトレーに点蒔きにしたので、あらゆる段階の芽吹きがいっぺんにならんでいる今、
ひょろひょろとみんな違う様子が、まるで植物離れしています。
かわいいでもなく、きれいでもなく、単純におかしいです。
鳥沼地区はタマネギ農家さんが多いので、それを知らなかったと話したら笑われそうですが
こういうことこそ、やってみないと解らないものです。

そうして、冬に戻ってしまった富良野盆地の片隅で、ひっそりとメロンづくりが始まっています。
2番目のハウスに植えるメロンも、今日種をまきました。

苗床だけでなく我が家の居間では、温度計の表示機が3台フルに働いていて、
uydaも私も気が付けばいつも目をやっています。
苗床の土の温度とすぐその上のトンネル内気温が2箇所分、そして室温、外気温がセンサーからここに送られてきているので
これをみて育苗ハウスの開口、二重ハウスや何重何種もあるトンネルのかけ下ろしに
ちょくちょく出かけて行く我が家は、じつに落ち着きのない暮らしです。
ご飯前だろうとなんだろうと文句屋のuydaも黙って従う、お偉い温度計です。

この温度管理が収穫が終わるまで続くので、育てているようで、じつはメロンに飼われている
我が家の様子を端的に示してもいます。
犬にも飼われているではないか、という声も聞こえてきそうですが、確かにそのとおり。
何も言なくなりましたので、次のブログまでしばしのお待ちをご免下さい。
posted by momouyda | 12:35 | - | comments(0) | trackbacks(0) |
風で洗う
雪の量は減りもせず、増えもせずのこのごろ。
苗床が仕立て上がったので、天気の合間を見て栽培用ハウスの褄面を鉄パイプで作っています。
しかし今朝はとても風が強く、外仕事が上手く出来そうになかったので、風が止むまで待機です。

ただ待っているのはつらいので、部屋の中でバジルの種をふるいました。
去年、トマトのそばで生やしていたバジルの穂を取り、
袋に入れてそのままにしていたので、それをざるに入れて種をふるい落とします。
すると、種と小さなゴミとがいっぺんにざるから落ちてくるので
落ちたゴミを集めて浅いお盆に載せ、送風機の前で跳ね上げながら、ごみを飛ばしてゆきます。
最後にきれいな種だけがお盆に残るように、風で洗うのです。
古くからあるこの作業を、とうみがけ(唐箕がけ)といいます。

本当の唐箕という機械を持っていないので、我が家では風を送るふいごの代わりに、
ジェットエンジンみたいなサーキュレーターを使いました。
箕の方はあらゆる食品に付いてくる、白いトレーです。
トレーの箕は、ボール箱で作った箕よりも、縁の高さと角の円さがちょうど良くて
小さくていくらでもある種から、重くて良い種だけを選りすぐって残すのには
思い切り良く飛ばせるので使いやすかったです。
なかでも鰹のたたきの冷凍物にあてがわれていた、とても細長いものがバジルには向いていました。

バジルの種は、キウイフルーツの種によく似ています。
ごまより小さくて軽い、焦げ茶の粒です。
なかでも最後まで残るのは、より黒っぽくて大きめの粒だけで、
両手にあふれるほどの花殻から、小さじに1/4ほどの種になりました。
これでもすべて発芽したら、6畳間分くらいのバジル畑になります。
これを穫ったのはたった6株のバジル、しかも穂を取ったのは全体の半分くらいですから、
バジルの場合、種は割と簡単に穫れてしまいます。
実はこの時穫ったバジルも、3年前に頂いた一つの苗から穫ったもので、
これで我が家で2世代過ごしたことになります。

こうして自分で種をつくっていると、他の花粉と交配して香りが悪くなるともききますが
いまのところ、大丈夫なようです。
唐箕がけする材料はつまらない茶色。しかしただのゴミである花の殻や、種からも
信じられないくらいぷんぷんとバジルの臭いがして家中良い香りで一杯になりました。
最後は部屋中に飛ばしたゴミを掃除機で吸い上げたので
これからしばらく掃除のたびにバジルの香りが楽しめるかもしれません。
嵐の中のちいさなイタリア、我が家の外観から誰が想像出来るでしょうか。

ちっとも稼げやしないこんな日に、大まじめにこんな仕事ができるのは農作業のいいところです。
経済的には、2時間分の時給を損して百何十円の種代が浮いただけのことにすぎませんが
自分の畑に合った種を育てる、という実は農業の本質的な部分に関わる作業でもあり
栽培が簡単なバジルで、まずはこの流れを習得してみたいという狙いがあります。

こうして、バジルの他にもわが畑に自家製の種をひとつづつ揃えて行こうとおもっています。
家庭菜園はあまりに楽しいので、夢中になりすぎると本業に差し障ると、
いくつかの本にありましたが、確かにそうかもしれません。

こうして昔の農家さんなら誰もがやっていたことを、少しずつ知り、実践して行くことが楽しく
また、やけに大事な気がするこのごろです。
posted by momouyda | 20:34 | 農作業 | comments(0) | trackbacks(0) |
スタートライン
さて、有機栽培に首を突っ込もうとしはじめているuydaは、
このごろ肥料と育苗用の土探しをしています。

農業資材屋さんや肥料工場に電話をかけたり、化学処理がなされていないという証明書を発行してもらったのち、
有機認証団体にその内容を確認してゆく作業です。
こうして事務的に理屈をとおしても、実際の栽培で問題がないかどうかは
やってみるまで解らないのが作り手にとっては痛いところだけれども
まずは、手続き上の不安なくして実践に取り組めるように準備しています。

有機栽培の農家、一般的には増えているはずなのですが
夏の短い富良野では、年間の作数が限られていて時間と労力にゆとりをもちづらかったり、
あるいは温かい地域よりも病気や虫の発生が少ないといわれているためか、
一般的な農法でも比較的農薬などの使用回数が多くなく、安全性への危機感をそれほど感じずに済んでいることから
まだ有機栽培の農家さんは珍しい存在です。

というか、平たく言えば、住環境が良いので化学薬品へのアレルギーや環境汚染などの問題に関しては、
はっきり言って都市部との温度差が否めません。

有機農法といえば草や虫だらけの畑にして、周囲の農家さんに迷惑がかかり
ろくに手間をかけないから作物が穫れない。
したがって収量が上がらないということは、地域を潤す存在にはなり得ないので困る、
だから有機農法をやるのはやめて欲しい。
農業をはじめようとしたときから、いろいろなところでそう言われてきました。
なるほどごもっともです。
新参者、受け入れる地域の方々お互いにとって不幸になるのが解っていて働くのはつらいことです。

しかし最近の有機農法には、科学的に技法が確立されてきているものもあり、
きちんと技術を習得して、確実に実践すれば良質な野菜がずっしりと並以上に穫れるので、
市販の野菜と変らない値段で販売することもできると聞いています。

そのような農法が最近になって少しずつ知られるようになっては来たものの、
従来の生化学では扱われることのなかった部分に鍵を持っていて
長年基礎的な研究をされている農学者も頭を抱えざるを得ないほどの斬新な理論で展開しているところもあり、
まだ一般に知られるには時間がかかりそうです。
我が家自身も、ほんの少しのレクチャーと本での知識を得たのみで
まだ雲を掴むような話なので、これ以上詳しくは語れません。

まずはおとなしく異端児であり続けられるよう、いままでメロンの親方がしてきたメロンの扱いを基本に、
やれるところから確実に実践するのみです。
そして願わくば、見込みどおりの収穫を得ることで、ここ富良野市にもほんの少し貢献したいと思っています。
なるべく早くこの願いを叶えなければ、と確定申告しながら小さな二人、こころに決めたのでした。

さて、畑では育苗ハウスの内装が進んでいます。
外からみると、30mあるハウスの家に近い方半分が2重になっていて、
残りがただの空間になっているのが透けて見えます。

2重に仕立てたビニールが、3年目のもので上に乗った砂埃が目立ったので、
バケツに湯をいれ、友達にもらったとっておきの粉石鹸をほんの少し溶かして持ってゆき、掃除しました。
道具は窓ふきワイパーに、ハウスの曲面に合うような軸を鉄パイプでこしらえてみました。
その昔、毎週土曜の開店前にショールームのガラス拭きをしていたことを思い出すと、
すっぴんにカッパと長靴姿で、気兼ねなくがに股で脚立に登れる幸せをつくづく感じます。

uydaの温床づくりの邪魔にならないように、高いところから仕事ぶりを眺めつつ、
ゆっくり表も裏もきれいにすると、なかなかさっぱりとした空間になってきました。
ここに愛らしい苗が育ってくるころには、仕事にも弾みがついてくるはずです。
もう、そこまできたらお盆までひとっ飛び。種まきまであと4日のいま、我が家も秒読みに入っております。
posted by momouyda | 17:01 | - | comments(0) | trackbacks(0) |
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